歯科技工士法改正要望意見

1.歯科技工士の資格、身分の統一見解について

総務省の日本標準職業分類(平成14年3月改定)によれば、歯科技工士は「専門的、技術的職業従事者」、「医療技術者」であり、歯科技工所が「医療、福祉」、「医療業」「医療に付帯するサービス業」に分類されています。

しかし「歯科医療行為に付随するサービス提供事業」であるにかかわらず、消費税に関わる判例によれば、製造業とサービス業のどちらかの問いに、これらは給付の対象(歯科補綴物)が有形物か無形の役務(非物質的)かによって区別されており、原材料を基に歯科補綴物を納入し、その対価として金品を受け取ることから有形物を給付の内容とする「製造業」にあたるのが相当であるとされている。

総務省、財務省、それぞれが違う見解をだしており、今現在歯科技工業に従事している歯科技工士のみならずこれから資格取得を目指す学生にも多大ななる影響を及ぼしかねないのが現状であり、早急に身分の見解を統一していただきたい。
(歯科医師は診療所内の補綴物制作に限定すること)

2.歯科技工士及び歯科技工所の実態調査

現在、各地区管轄の保健所による歯科技工所開設届、歯科技工業務従事者届は、法令により義務化されているが、廃業・離職に伴い実在しない歯科技工士、または歯科技工所が正確に把握されていないのが現状である。

これら正確な実数がわからなければ、今後必要とされる歯科技工士数の状況を判断できないことが予想される。また、現在国民の歯科補綴物のトレーサビリティ(その製品がいつ、どこで、誰によって作られたのか)を明らかにできない状況にあり、国で認められた原材料が適切に使用されているか、有資格者が制作しているのか、登録している歯科技工所で製作されているのか(未届け、無資格者、未承認材料の使用、有害物質の含有など)ましてや、中間業者と呼ばれる歯科技工法の適用が及ばない業者による歯科補綴物の受注が横行しており、法律の遵守している歯科技工士が適正価格での受注を行えない状況がみうけられる。

これらは、いずれも歯科技工士の離職、廃業に繋がっていると予想されますさらには、更には高齢化問題により、順次離職者が増えて加速度的に減少する事が考えられます。 適正に法を遵守し歯科医療従事者として責任ある歯科技工士を育てていくためにも、これら歯科に従事する歯科技工士の需要を予測し、適切な人数を確保するための計画を策定してほしい。

退職や廃業などで技工業から離れる会員

2020年入会者・2名
2021年2名廃業・入会者0名
2022年退会離職者6名・入会者6名
2023年退会離職者4名・入会者4名

3.歯科技工士教育の年限延長

現在の歯科技工士教育は、2年制がほとんどで一部に短大、4年制があります。
2年という短い期間での教育のため、基礎知識はあるものの、実社会にでて就職してもなかなか即戦力とはなりえず、社会に出てからある程度の実習期間を得ないといけない旨、雇用側から聞こえてきます。その期間、どうしても挫折してしまう新入社員も多く、早期退職や離職に繋がっているのが現状です。

5年で半分、10年で約9割が離職するとのことです。こうした背景には、学校を卒業してからの実社会とのギャップが大きいのが、要因と見受けられます。卒後のインターン研修や、個人事業主が9割を占める業界ですので新たに技工所経営のノウハウなど、しっかりとした知識を学ぶことで、国民の歯科補綴の一翼を担えるようになるための教育年限の延長化を望みます。